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〜戦時中の軍需用特殊フイルム及び印画紙の製作〜高橋写真フイルム化学工場は、戦時中は軍需用として「多摩」の商標で35mmの特殊なネガフィルムと印画紙を製造しました。このフイルムと印画紙は、当時軍の諜報活動に使用する特殊フイルムでした。そのフイルムの構造は下図の様になっており、撮影したフイルムを現像して画像を出すには、現像前に前処理が必要で、前処理をしないで現像すると全体が真っ黒になって何を写したかわからないという仕掛けがしてありました。 ![]() このフィルムの仕掛けは、密着用印画紙に使用されている塩化銀乳剤が、高感度のネガ用に使用する沃臭化銀乳剤より定着(溶解)速度が早いことを利用したもので、特殊な定着液でカブッた塩化銀乳剤だけを先にとりのぞく前処理が必要でした。 前処理なしに現像すれば全面真黒にカブり、撮影された画像が見えないという仕掛けがしてあるフイルムでした。印画紙も同様な構造になっていました。当時は印画紙に焼付けして伝書鳩につけて送る通信方法がとられていました。前処理に使う定着剤処方は、ノートに書くことを禁ぜられていたので、その処方は残されていません。 この軍用特殊フイルム及び印画紙は、川崎市の軍の登戸研究所に納入するため軍と共同して開発したものでした。ここの研究所では、各種の秘密戦資材の研究がされ、米国へ飛ばす風船爆弾も製造されていた一般には秘密な軍施設でした。現在は明治大学の敷地内にあり、住民の保存運動の結果保存されることになっています。 |